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BFRトレーニング 追い込まなくても効果はある?

  一般的なウェイトトレーニングにおいては、それほど追い込まなくても十分に効果が期待できることが最近の研究でも確認されてきました。ではBFRトレーニングではどうでしょうか。 トレーニング非経験者の男性17名を対象に、20%1RMでBFRレッグエクステンションを行わせた研究があります。(※) 全部で4セットやりましたが、「すべて限界までやる群」と、「30回→15回→15回→15回で終える群」とで比較しました。 セッションは全部で14回です。これは5日間を1ブロックとして、間に10日間のインターバルを挟み、2ブロックを行いました。つまり最初の5日間で7セッション、10日間空けて、次の5日間でさらに7セッションということでしょう。 その結果、どちらの群もTypeⅠ繊維の筋核数(12~17%)とTypeⅡ繊維の筋核数(20~23%)が増加しました。またTypeⅠ(92~134%)およびTypeⅡ(23~48%)どちらの衛星細胞数も増加しました。 さらに大腿直筋と外側広筋のサイズがどちらも5~10%増加したのですが、限界までやる群はTypeⅠ繊維の断面積が減少していました。 また筋力についてはどちらも一回目のブロック後に低下しましたが、二回目のブロック後には6~11%増加しています。 資格取得講座でも「30回→15回→15回→15回」のプロトコルを推奨していますが、ここでは20%1RMよりも重い重量でやることが多く、受講者の皆さんはかなりキツイと感じたはずです。 20%1RMでしたらそうハードではなく、多くのクライアントに無理なく行っていただけることでしょう。 またこの研究では一日1回以上の高頻度でも効果を出すことができると判明しました。ただし途中で低下もしているので、効果が出るまでにある程度の時間が必要になってくると思われます。 どうしてもトレーナーの多くはキツイ方法をクライアントに行わせて「やった感」を醸し出そうとしがちなのですが、軽いトレーニングで最大の効果を出してあげるのがトレーナーの腕の見せどころでもあります。 20%1RMでの30回→15回→15回→15回、そして高頻度。ぜひお試しください。 ※: Frequent blood flow restricted training not to failure and to failure induces simila

BFRトレーニングと有酸素運動の組み合わせは

  BFRトレーニングは血流を制限して軽めの重量で行うウェイトトレーニングと定義されます。ウェイトトレーニングといえば一般的に無酸素運動なのですが、軽めの重量の場合はレップス数が多くなるため有酸素運動的な意味合いも含まれてきます。 ただしBFRの場合は軽めの重量でも酸素利用が少なくなるため、強制的に無酸素運動となり、速筋繊維が優先的に使われます。 では「軽めのウェイトトレーニング」ではなく、最初から有酸素運動にBFRを組み合わせた場合はどうでしょうか。 2019年10月に発表されたシステマティックレビュー(※1)によれば、12本の論文によって「BFR+有酸素」の効果が実証されており、8本の論文によって長期における代謝の改善が認められています。 また15本の論文によって血行動態の改善が示され、神経と筋肉、および代謝における改善が起こったとされています。 そしてこれらの論文によれば被験者はBFRを継続可能で(BFRの研究において途中で脱落した人が少ない)、健康に与える悪影響もなかったため、肥満者や高齢者においても安全に実行できるトレーニング法だとされています。 では論文の中からいくつか抜粋して紹介しましょう。自転車こぎ運動において回転数を固定し、最大酸素摂取量の20%か40%、60%になるように強度を調節したところ、20%の強度でも酸素消費量が非常に高まったことが示されています。(※2) また3分間のBFRウォーキングを5セット(インターバル1分)で行ったところ、EPOC(運動後の酸素消費量増加)の明らかな増加がみられています。(※3) 40%Vo2MAXでBFRによる自転車こぎ運動を15分行わせたところ、非BFR群に比べて大腿四頭筋の筋肉量と筋力の増加、Vo2MAXの増加がみられています。これは心臓に問題を抱えている被験者でも同様でした。(※4, ※5) ウェイトを扱う場合、基本的に脚のBFRは短めの時間で終わらせることを推奨しますが、脚にベルトを巻いて行うBFR有酸素運動をIntermittent(3分を5セットなど)で行う方法ならば、比較的安全に行えるかもしれません。 ※1: Acute and Chronic Responses of Aerobic Exercise With Blood Flow Restriction: A Systematic Revie

BFRトレーニングと酸化ストレスの関係

  血流制限により虚血再灌流障害が起き、酸化ストレスが発生するということは資格取得講座を受けた方ならご存知だと思います。では普通の高強度トレーニングと比べて、酸化ストレスの割合は高いのでしょうか。 身体活動が活発な男性27名(ウェイトトレーニングは未経験)を対象に、8週間に渡ってトレーニングを行わせた研究があります。(※1) 通常トレーニング群はバーベルカールを75%1RMで6セット、90秒のインターバルで週3回行います。 BFRトレーニング群は動脈閉塞圧の50%(平均107~108mmHg)でやる群と、動脈閉塞2圧の100%(平均232mmHg)でやる群とに分けました。 通常群もBFR群も各セット、限界まで行うようにしました。 その結果、どの群も同様に筋力と限界までのレップスが増加しています。 TRADが通常トレーニング、PRが50%圧、TRが100%圧。 そしてグルタチオン(GSH/GSSG比)や白血球のアポトーシス(MMPとカスパーゼ-3)を測定したところ、通常トレーニングや100%圧で酸化ストレスが大きくなり、50%圧では酸化ストレスはあまり起こらないことが判明しました。 そして筋力やボリュームロードは同程度に向上しているわけですから、軽い圧でのBFRは健康的に筋肉を鍛えるのに役立つということがわかります。 同様の研究は他にもあり、30%1RMで軽い圧でのBFRは酸化ストレスを高めず(※2)、高強度のトレーニングは酸化ストレスを高め(※3, ※4)、圧の高いBFRもやはり酸化ストレスが高める(※5, ※6)ようです。 軽い圧でのBFRトレーニングの普及によって、高齢者の健康的なフレイル改善が期待できることでしょう。