BFRトレーニングは血流を制限して軽めの重量で行うウェイトトレーニングと定義されます。ウェイトトレーニングといえば一般的に無酸素運動なのですが、軽めの重量の場合はレップス数が多くなるため有酸素運動的な意味合いも含まれてきます。
ただしBFRの場合は軽めの重量でも酸素利用が少なくなるため、強制的に無酸素運動となり、速筋繊維が優先的に使われます。
では「軽めのウェイトトレーニング」ではなく、最初から有酸素運動にBFRを組み合わせた場合はどうでしょうか。
2019年10月に発表されたシステマティックレビュー(※1)によれば、12本の論文によって「BFR+有酸素」の効果が実証されており、8本の論文によって長期における代謝の改善が認められています。
また15本の論文によって血行動態の改善が示され、神経と筋肉、および代謝における改善が起こったとされています。
そしてこれらの論文によれば被験者はBFRを継続可能で(BFRの研究において途中で脱落した人が少ない)、健康に与える悪影響もなかったため、肥満者や高齢者においても安全に実行できるトレーニング法だとされています。
では論文の中からいくつか抜粋して紹介しましょう。自転車こぎ運動において回転数を固定し、最大酸素摂取量の20%か40%、60%になるように強度を調節したところ、20%の強度でも酸素消費量が非常に高まったことが示されています。(※2)
また3分間のBFRウォーキングを5セット(インターバル1分)で行ったところ、EPOC(運動後の酸素消費量増加)の明らかな増加がみられています。(※3)
40%Vo2MAXでBFRによる自転車こぎ運動を15分行わせたところ、非BFR群に比べて大腿四頭筋の筋肉量と筋力の増加、Vo2MAXの増加がみられています。これは心臓に問題を抱えている被験者でも同様でした。(※4, ※5)
ウェイトを扱う場合、基本的に脚のBFRは短めの時間で終わらせることを推奨しますが、脚にベルトを巻いて行うBFR有酸素運動をIntermittent(3分を5セットなど)で行う方法ならば、比較的安全に行えるかもしれません。
※1:
Acute and Chronic Responses of Aerobic Exercise With Blood Flow Restriction: A Systematic Review.
Front Physiol. 2019 Oct 4;10:1239. doi: 10.3389/fphys.2019.01239. eCollection 2019.
※2:
Metabolic and cardiovascular responses to upright cycle exercise with leg blood flow reduction.
J Sports Sci Med. 2010; 9(2):224-30.
※3:
Effects of Walking with Blood Flow Restriction on Excess Post-exercise Oxygen Consumption.
Int J Sports Med. 2015 Mar; 36(3):e11-e18.
※4:
Effects of Low-Intensity Cycle Training with Restricted Leg Blood Flow on Thigh Muscle Volume and VO2MAX in Young Men.
J Sports Sci Med. 2010 Sep 1;9(3):452-8. eCollection 2010.
※5:
The impact of aerobic exercise training with vascular occlusion in patients with chronic heart failure
ESC Heart Fail. 2018 Aug; 5(4): 586–591.
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